赤谷の森 赤谷プロジェクトについて知りたい方へ。赤谷の森は、群馬県みなかみ町北部から新潟県境に広がる約1万ヘクタールの国有林です。赤谷プロジェクトは、この森で生物多様性の復元と持続的な地域づくりを進める協働の取り組みです。
この記事は2008年6月、地元の山で雑木林の利用が減り、植林されたスギ林の手入れが行き届かない様子を見た書き手が、赤谷の森の活動を紹介した記録をもとに全面再編集しました。現在の活動内容は、林野庁関東森林管理局と日本自然保護協会・赤谷プロジェクトの公式情報で確認しています。
赤谷プロジェクトは三者の協働で進む
赤谷プロジェクトは2003年に始まりました。中核を担うのは、地域住民で組織する赤谷プロジェクト地域協議会、林野庁関東森林管理局、公益財団法人日本自然保護協会の三者です。国有林の管理だけを目的とするのではなく、自然環境を科学的に調べながら、地域の暮らしや産業との関係も考えます。
プロジェクトが掲げる二つの大きな目的は「生物多様性の復元」と「持続的な地域づくり」です。森を手つかずにしておけば自動的に元へ戻るという単純な考え方ではなく、人工林の管理、野生動物の調査、渓流環境の復元、地域材の活用、環境教育など、複数の課題を長期的に扱っています。
人工林を多様な自然林へ近づける
戦後に各地で植えられたスギなどの人工林には、木が密集し、林床へ十分な光が届きにくい場所があります。赤谷プロジェクトでは、単調な人工林を間伐し、周辺から広葉樹が自然に入ることを促しながら、地域本来の多様な樹種で構成される森林へ誘導する取り組みを進めています。
ただし、木を切ればすぐ豊かな森が完成するわけではありません。伐採後にどの植物が育つか、外来植物やニホンジカの影響がないか、生きものの利用がどう変わるかを観察し、結果を次の管理へ反映させます。森の再生は、数年ではなく長い時間軸で評価する仕事です。
イヌワシとクマタカから森を見る
赤谷プロジェクト公式サイトは、赤谷の森にイヌワシ1つがいとクマタカ4つがいが生息すると紹介しています。これらの猛禽類は森林生態系の上位に位置し、餌となる動物や狩りができる環境が必要です。その暮らしを調べることで、森全体の多様性や環境の変化を評価する手掛かりにしています。
イヌワシの狩場を確保するため、人工林の一部を伐採して開けた場所をつくり、その後の利用状況や植生の変化を調べる試験も行われています。野生動物を見つけるために営巣地へ近づいたり、位置情報を公開したりせず、調査と保護のルールを優先する必要があります。
渓流と動物の環境も対象
赤谷の森では、治山ダムによる防災機能と、魚などが暮らす渓流環境の両立を目指す取り組みもあります。ダムの中央部を撤去した場所では、河川や生きものへの影響を継続して調べています。また、センサーカメラで哺乳類の生息状況を確認し、増加傾向にあるニホンジカによる生態系への影響を抑える管理も進めています。
森の問題は「木が多いか少ないか」だけでは判断できません。樹種と樹齢の構成、林床の植物、土、水の流れ、昆虫、魚、哺乳類、猛禽類がつながっています。赤谷プロジェクトは、その関係を調査データから読み解き、森の管理へ戻すモデル地域としての役割も担います。
一般の人が活動を知り、関わる方法
赤谷プロジェクトにはサポーター制度があり、公式サイトでは「赤谷の日」などの活動案内をメーリングリストで知らせています。活動内容、募集条件、保険、装備、集合場所は回ごとに異なる可能性があるため、過去のブログ記事だけで参加せず、公式案内から登録・確認してください。
赤谷の森は広大な国有林で、すべてが観光客向けの散策地ではありません。林道の通行規制、調査区域、危険箇所、積雪、野生動物への配慮があります。許可のない区域へ入らず、自然観察や環境教育は主催者とガイドの案内に従います。
2008年の記事から現在へ
元記事には、NHK教育番組「モリゾー・キッコロ 森へいこうよ!」が赤谷の森で撮影されていたという当時の紹介がありました。放送期間や撮影回を現在の公式番組資料で十分に照合できなかったため、現在見られる番組としては案内しません。一方、赤谷プロジェクトそのものは2003年から続き、2023年には20周年の報告会も開かれました。
森の変化に目を向ける時間は、日常の速度を緩め、長い時間軸で物事を見る「回復の余白」になります。ここでいう回復は医療的・身体的な効能ではなく、自然と地域の関係を考え、自分の感覚を取り戻す体験価値を表します。
活動の全体像と参加案内はみなかみ町 赤谷プロジェクト公式サイト、国有林管理の位置付けは林野庁関東森林管理局「赤谷プロジェクトとは」で確認できます。
初回公開:2008年6月5日/全面再編集:2026年8月9日。掲載画像は生成ビジュアルであり、実際の赤谷の森、事業区画、現在の植生や野生動物を示すものではありません。
この記事を書いた人
窪田 一生
旅籠屋丸一 代表取締役/15代目
群馬県・猿ヶ京温泉生まれ。幼少期からテニスに打ち込み、全国大会やオーストラリア留学を経験。
中央大学卒業後、中国整体・サプリメント・アロマ関連など、人の身体や暮らしに関わる仕事に携わる。
現在は旅籠屋丸一の代表取締役・15代目として、歴史を受け継ぎながら宿の新しい未来に挑戦中。
このブログでは、猿ヶ京温泉や旅の魅力、宿づくりへの想いをお届けします。

