不感温浴を知ると丸一のぬる湯がもっと楽しい

旅籠屋丸一・蔵の湯の石造りの内風呂に満ちる湯

旅籠屋丸一の温泉には、熱い湯にさっと入るのとは違う楽しみがあります。湯に身を預けると、はじめは少しぬるく感じても、しばらくするとその温度が心地よくなる。体温に近い湯を味わう「不感温浴」です。

不感温浴という言葉は少し難しく聞こえますが、目安は34~37℃ほど。熱さや冷たさを感じにくい湯温のことです。熱い湯なら、入った瞬間に「ああ、温泉だ」と分かります。ぬる湯はもう少し静かです。湯に慣れてくると肩の力がふっと抜け、湯音や外の気配に耳が向く。丸一では、自家源泉のぬる湯を知っていただく入口として、この入り方をおすすめしています。

湯温と体の反応を調べた研究もあります。健康な若い男性8人を対象にした研究では、34℃の水中で、心拍変動からみる副交感神経活動の指標が高まったと報告されています。研究を読む。別の研究では、健康な男性6人が29℃・35℃・40℃の湯に入り、40℃では心拍数や心臓への負担を示す指標が上がりました。研究を読む。二つの報告を並べると、湯温が数度違うだけで体の反応も変わることが分かります。旅先の温泉で「今日はどちらの湯が気持ちいいだろう」と選ぶ楽しさには、そんな背景もあるのです。

36.1℃で湧く丸一の自家源泉

丸一の里山温泉は、2024年5月の分析書で源泉温度36.1℃。泉質はカルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉、pH8.4です。温泉は約499mの深さからくみ上げられ、分析書に記された湧出量は毎分183L。地下から届く湯の温度そのものが、丸一のぬる湯の物語の始まりです。36.1℃は湧き出す源泉の温度で、浴槽の温度は湯の使い方によって変わります。

硫酸塩温泉という泉質名は、湯に含まれる成分を示すもの。温泉成分等の掲示には、一般的適応症と泉質別適応症が記されています。掲示では、たとえば冷え性や皮膚乾燥症などが泉質別適応症に挙げられています。禁忌症と入浴上の注意も同じ掲示で確認できます。数字や名前を覚えるより、丸一に来たら、まずはこの湯を肌で知っていただけたらうれしいです。

旅籠屋丸一の温泉風呂付き客室に設けられた石張りの浴槽
温泉風呂付き客室の浴槽。写真提供:旅籠屋丸一

温泉風呂付き客室では、まずぬるめの湯に入ってみてください。好みに合わせて加温もできます。湯の温度を自分で選べるのは、客室風呂ならではのよさです。夕食前はぬるめのまま、翌朝は少し温かく。そんなふうに同じ浴槽でも旅の時間によって印象が変わります。手足からかけ湯をして、肩まで沈む前に湯加減を確かめる。長さを競わず、心地よいところで上がってください。

蔵の湯で楽しむ二つの湯

蔵の湯へ行くと、石造りの内風呂と露天風呂があります。内風呂はぬるめの湯を楽しめるよう温度を管理し、寒い季節にも気持ちよく入っていただけるよう湯加減を見ています。静かな内湯に浸かっていると、初めに気になった外の寒さも、いつしか遠のくように感じるかもしれません。

露天風呂はボイラーで加温し、約42℃を目安にしています。こちらは風に触れながら温かな湯を味わう場所。ぬるめの内湯と温かな露天、二つの湯の違いをその日の外気や好みで選んでください。当館の不感温浴案内もご覧いただけます。

露天を利用する際は、館内に掲示する高温浴の注意もご確認ください。高齢の方や高血圧症・心臓病のある方、脳卒中を経験した方などには、42℃以上の高温浴を避けるよう案内されています。気分が悪いときは無理をせず、水分をとって休んでください。

湯上がりには水分をとり、客室でひと休み。窓の外を眺めながら、今日歩いた道や夕食のことを話す。誰かと一緒なら「どちらの湯が好きだった?」と聞いてみるのも楽しいものです。熱めの露天を選ぶ人も、ぬるい内湯に戻りたくなる人もいるでしょう。次に丸一へいらしたときは、ぜひ一度、ぬる湯の心地よさも確かめてみてください。

湯上がりにくつろげる旅籠屋丸一の客室の居間
温泉のあとに過ごす客室の居間。写真提供:旅籠屋丸一

東京方面からの道順は公式アクセス案内をご覧ください。料金や空室は宿泊日・客室・人数によって変わりますので、公式予約画面で最新情報をご確認ください。

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この記事を書いた人

窪田 一生
旅籠屋丸一 代表取締役/15代目

群馬県・猿ヶ京温泉生まれ。現在は旅籠屋丸一の15代目として、歴史を受け継ぎながら宿の新しい未来に挑戦中。このブログでは、猿ヶ京温泉や旅の魅力、宿づくりへの想いをお届けします。