東京から猿ヶ京温泉へ車で向かう日、昼食にひとつ行き先を決めるなら、みなかみ町幸知の「そば処角弥」はいかがでしょう。水上インターを出て山側へ進み、へぎに盛られたそばを囲んでから宿へ。移動をただの移動にせず、旅の前半においしい寄り道をつくれます。
角弥は裏山の清水を使う手打ちそばの店です。公式サイトには創業250年とあり、会社の案内には、へぎと呼ぶ器にそばを盛って皆で食べるスタイルが紹介されています。店名を目的地にして出かけられるだけの個性があり、丸一へ向かう道中の食事としても組み込みやすい一軒です。
へぎそばを頼むなら一緒に食べる楽しさも
「へぎ」は、そばを盛る器の名前。角弥の公式案内を読むと、蕎麦を一人ずつ別の皿で黙々と、というより、大きな器を食卓の真ん中に置いて分け合う食べ方がこの店らしいようです。車内でずっと前を向いていた二人が、ここでは同じ器に向かい合う。そんな切り替わりも、旅の食事のよさではないでしょうか。

おしながきには、へぎそば、かも汁、舞茸天ぷら、野菜天ぷら、とろろ汁、そば茶アイスなどが並びます。初めてなら、まずそばを中心に考え、温かいつゆを添えたいか、揚げたての天ぷらを一緒に楽しみたいかで組み立てると選びやすいでしょう。舞茸や野菜の天ぷらについて、運営会社の紹介は地域の食材を使うことにも触れています。ただし品目や提供内容は日ごとに変わり得るので、出発前には角弥の公式サイトで最新のおしながきとお知らせを確かめてください。
山の旅の昼食というと、豪華な一皿を想像しがちです。でも、そばをたぐる手が止まらず、もう一口だけ、と箸がのびる時間には別の満足があります。舞茸の香り、揚げ物の音、あたたかいつゆ。これは特定の日の実食記ではなく、角弥の公式メニューから旅の食卓を想像した描写です。実際の味や提供の順番は、その日の一皿で確かめてくださいね。
創業250年の店を旅の途中に置く理由
角弥の看板には「創業250年、伝統の蕎麦打ちを継承」とあります。長く続く店に立ち寄る面白さは、年数を暗記することではありません。水を使い、そばを打ち、客を迎える。昔から続く仕事が、今の昼食として食卓に現れることです。
猿ヶ京温泉へ向かう道も、古くから人が往来した土地につながります。店の歴史と宿の歴史を無理に一つの物語に結びつける必要はありません。それぞれの場所で、それぞれの人が続けてきたことに触れる。昼はそば、夕方には宿の玄関。この二つだけでも一泊の輪郭がはっきりします。
二か月ほど先の旅を考えている方にも、昼食の行き先を先に決める方法はおすすめです。冬は日が短く、道路状況の確認も必要になります。観光地をいくつも詰め込むより、角弥で昼食をとり、余裕を持って猿ヶ京へ向かう。何もしない時間を一つ残すと、宿に着いてからの過ごし方を選びやすくなります。客室や食事の内容は、旅籠屋丸一公式サイトをご覧ください。
東京から角弥を経て丸一へ向かう

車なら東京方面から関越自動車道の水上インターへ。そこから角弥のある幸知へ向かい、昼食後に水上方面へ戻って国道17号側から猿ヶ京温泉へ進む順番が考えられます。角弥の公式案内では水上インターから車で10~15分、住所は群馬県利根郡みなかみ町幸知189-1です。ここから猿ヶ京までの所要時間は、交通や季節で変わるため本文では固定しません。店のアクセス案内と丸一の交通案内を合わせ、当日の道路状況も確かめてください。
営業時間は公式サイト上で11時から売り切れ次第閉店、定休日は木曜です。週末は営業時間が変わるお知らせが出ることもあります。到着が遅くなりそうなら、店の最新情報を見てから出発を。価格も品切れも当日次第です。この記事を固定の営業案内として使わず、旅程を組むための手がかりにしていただければと思います。
公共交通なら、水上駅から店までは公式案内でタクシーまたはバスとされています。ただ、店から猿ヶ京へ同じ足で移動する計画は接続を確かめておきたいところ。バス便と宿への移動を先に確認し、無理のない便を選んでください。車の方も冬季は積雪・凍結の情報を見て、時間にゆとりを持ってどうぞ。
旅の昼食を「どこでもいい」にしない。角弥のへぎそばを囲む予定を一つ入れるだけで、東京から丸一までの道には、立ち寄る理由が生まれます。おなかが満ちたら、次は猿ヶ京の山あいへ。別の昼食候補として育風堂を紹介した記事も、順路を考えるときにどうぞ。
昼食を旅程の真ん中に置くと選びやすい
宿へ着く時刻から逆に考えると、昼食の選び方はぐっと簡単になります。角弥へ寄る日は、東京を出る時刻だけでなく、食後にどれくらい歩きたいかも先に決めてみてください。水上周辺を少し見てから猿ヶ京へ向かうのか、食後は宿へ直行して客室で過ごすのか。後半の予定で、そばを食べる時間のゆとりも変わります。
秋は景色に目を奪われ、冬は明るいうちに移動を終えたくなる季節です。同じ昼食でも、日没の時刻や道路の状態で組み方は変わります。角弥を一泊旅行の「ついで」にせず、食事を旅の前半の主役に据える。すると、移動中の会話まで少し具体的になります。「そばにする?」「舞茸も頼む?」。そのくらいの相談から始まる旅が、私は好きです。
角弥は売り切れ次第閉店ですから、予定が押したときは慌てて走らないことも大切。交通状況や待ち時間は予測しきれません。店を訪ねるなら公式のお知らせを確認し、無理のない到着時刻を考える。間に合わない見込みなら、予定を立て直す余地を残してください。旅の楽しさは、一軒に絶対に入れることより、気持ちよく次の場所へ進めることにもあります。
そばと天ぷらの組み合わせは、山あいの昼食に分かりやすい華やかさをつくります。へぎに並んだそばを皆で分ける楽しさと、選んだつゆや天ぷらをそれぞれの好みで味わう楽しさ。その二つが同じ食卓にあるのが角弥らしさだと思います。もちろん、写真のイラストは料理の実物ではありません。何を選ぶか迷ったら、当日の店頭の案内を見て決めるのがいちばん確かです。
確認先:そば処角弥公式サイト/株式会社角弥の飲食店案内。料理・営業情報は訪問直前にも公式情報でご確認ください。

この記事を書いた人
窪田 一生
旅籠屋丸一 代表取締役/15代目。群馬県・猿ヶ京温泉生まれ。このブログでは猿ヶ京温泉や旅の魅力、宿づくりへの想いをお届けします。

