湯気の向こうで、薄桃色の上州麦豚がゆらり。鍋にくぐらせる時間はほんの数秒なのに、待っているこちらは妙に真剣です。丸一の夕食でお出しする上州麦豚のしゃぶしゃぶは、まず出汁で素直に、次に柚子胡椒で軽やかに、最後は黒七味で香ばしく。ひとつの鍋なのに、夜が進むほど表情を変えていきます。
丸一の夜は、湯気からおいしい

夕食の席に鍋が運ばれ、火が入ると、食事処の空気まで少しやわらかくなります。「そろそろいいかな」「もう一枚いってみようか」。しゃぶしゃぶには、同じ鍋を囲む人の会話まで温める不思議なところがあります。
主役は群馬県の銘柄豚、上州麦豚。麦類を取り入れた飼料で育てられ、白い脂と弾力のある肉質が特徴です。薄切りの肉を出汁に泳がせると、脂の甘みがすっと広がり、あと口は思いのほか軽やか。「もう一枚」は、だいたい一枚では終わりません。
おすすめは「出汁、柚子胡椒、黒七味」の三段仕立て

一枚目は、出汁だけで
最初は薬味を急がず、出汁をまとわせた上州麦豚をそのままどうぞ。肉のやわらかな甘みと、出汁の旨みがまっすぐ伝わります。ここで基準の味を覚えておくと、このあとの変化がぐっと楽しくなります。
二枚目は、柚子胡椒をちょこん
次は柚子胡椒をほんの少し。柚子の香りときりっとした辛みで、脂の甘みが引き締まります。つけすぎると柚子胡椒が主役になってしまうので、最初はお箸の先にちょこん、くらいが丸一流です。
三枚目は、黒七味で香りを重ねる
食事が進んだところで黒七味。山椒や焙煎した香辛料の深い香りが加わり、同じしゃぶしゃぶが少し大人びた味になります。出汁、柚子胡椒、黒七味。三者会談は、だいたい円満にまとまります。
野菜も、脇役の顔をしていません

鍋に入る野菜やきのこは、季節と仕入れに合わせて内容が変わります。上州麦豚の旨みを受け止めた野菜は、後半になるほどおいしくなる働き者。肉ばかり追いかけていると、鍋の底で「こちらもどうぞ」と待っています。
丸一の夕食は、地元の新鮮な野菜や自家製の創作料理を組み合わせたコースです。たくさんを一度に競うのではなく、その土地のものを少しずつ。温泉のあと、急がず箸を進める時間そのものを味わっていただけたらと思います。
この夕食を目当てに泊まるなら
上州麦豚しゃぶしゃぶは、「上州麦豚のしゃぶしゃぶプラン」でお楽しみいただけます。夕食は18時から一斉に始まり、会場は万葉亭のお食事処。お料理のコースは当日の変更ができないため、ご予約時にしゃぶしゃぶのプランをお選びください。予約後のコース変更は、ご宿泊日の2日前まで承っています。
「もう少し食べたい」という方は、仕入れ状況により食事会場でお肉の追加注文(別料金)も可能です。追加の可否や料金は当日スタッフへお尋ねください。
食後に運転しなくていい、というごちそう
お腹が満ちたら、そのまま部屋へ戻るもよし、もう一度温泉へ向かうもよし。帰り道を気にせず、山あいの夜に身を置けるのが旅館の夕食のいいところです。忙しい日常から少し離れ、湯気の立つ鍋を囲む。そんな「回復する時間」を、丸一で過ごしてみませんか。
献立・付け合わせ・器は季節や仕入れにより変わります。最新の販売日、客室、料金は予約画面でご確認ください。

