旅籠屋丸一のフロントへ入ると、書画や古い木の家具のあいだに、青と白の器が並んでいます。受付を済ませるだけなら、ほんの数分で通り過ぎる場所。それでも、丸い卓の上へ目を向けると、一枚ずつ違う絵柄が宿の時間を少しゆっくりにしてくれます。
今日は、器の年代や産地を言い当てる話ではありません。青い線の濃淡、白い余白、丸い皿と木の家具の取り合わせ。旅籠屋丸一が館内で大切にしている、細部を眺める楽しみをご紹介します。
旅籠屋丸一のフロントにある、青と白の器
正面から見ると似た色合いの器も、近くで眺めれば絵の大きさや余白の取り方が違います。縁まで模様が続く皿、中央に景色を描いたように見える皿。青にも濃いところと淡いところがあり、手描きの線を思わせる揺らぎが見つかります。
館内の器は展示替えや配置変更をすることがあります。写真は撮影時のフロントの様子です。作品名、年代、産地、販売の有無を知りたい場合は、思い込みで決めず、どうぞスタッフへお尋ねください。

丸い卓だから、器の輪郭がやわらかく見える
四角い棚に一直線で並べるのではなく、丸い卓の上に皿を立て、鉢や小さな器を重ねる。視線が自然に一周するので、正面からだけでなく、少し斜めから眺めたくなります。
木の茶色、器の白、絵付けの青。この三つの色が隣り合うことで、フロントの明るい時間にも落ち着きが生まれます。宿の設えは、大きな建物だけでできているのではなく、こうした小さな取り合わせの積み重ねなのだと思います。
絵柄を探すと、待ち時間が鑑賞の時間になる
山のように見える線、枝葉を思わせる形、人物や建物のように見える小さな景色。器を見比べると、「こちらは何を描いているのだろう」と会話が始まります。答えを急がなくても、気になった一枚を見つけるだけで十分です。
旅籠屋丸一の公式サイトでは、館内に点在する書や工芸、灯りの陰影や素材の質感まで含め、滞在を鑑賞体験として楽しんでいただく考えをご紹介しています。フロントの器も、そんな館内散歩の小さな入口です。
古い木の家具と、今の旅をつなぐ
器のそばには、使い込まれた色合いの木の家具があります。引き出しの金具、木目、角の丸み。新しいものだけで整えた空間とは違い、時間の重なりが目に見えるところが丸一らしさです。

湯へ向かう前、食事へ出かける前、朝の出発前。少しだけ足を止めて、昨日は気づかなかった器や家具を探してみてください。同じフロントでも、朝と夕方では光が変わり、青と白の見え方も変わります。
東京方面から旅籠屋丸一へのアクセス
お車では、東京方面から関越自動車道を利用し、練馬ICから月夜野ICまで公式案内で約90分。月夜野ICから国道17号を新潟方面へ進み、猿ヶ京温泉までは約20分です。
電車では、東京駅から上越新幹線で上毛高原駅まで公式案内で約89分。上毛高原駅から関越交通バスで終点の「猿ヶ京」まで約35分が目安です。時刻表や道路状況は変わりますので、出発前に最新情報をご確認ください。
フロントで見つける、回復の小さな余白
到着してすぐ予定を確認する前に、器を一枚だけ眺めてみる。青い線を目でたどる短い時間が、移動の速さから宿の時間へ切り替わる合図になります。
ここでいう「回復」は、急がずに細部へ目を向け、自分の時間を取り戻す旅の体験を表しています。旅籠屋丸一のフロントで、お気に入りの青をひとつ見つけていただけたらうれしく思います。
館内の現在のご案内と宿泊予約は、旅籠屋丸一公式サイトをご覧ください。フロントの大きな絵については、福沢一郎の絵と旅籠屋丸一でもご紹介しています。
この記事を書いた人
窪田 一生
旅籠屋丸一 代表取締役/15代目
群馬県・猿ヶ京温泉生まれ。幼少期からテニスに打ち込み、全国大会やオーストラリア留学を経験。
帰国後、堀越高校、中央大学へ進学。
卒業後は中国整体・サプリメント・アロマ関連など、人の身体や暮らしに関わる仕事に携わる。
現在は旅籠屋丸一の代表取締役・15代目として、歴史を受け継ぎながら宿の新しい未来に挑戦中。
このブログでは、猿ヶ京温泉や旅の魅力、宿づくりへの想いをお届けします。

