あじさいの色はなぜ変わるのでしょうか。2015年、旅籠屋丸一の庭では、わずかに離れた場所に青と赤みのあるあじさいが咲いていました。当時の記事では「酸性土壌なら青、アルカリ性土壌なら赤」と紹介しましたが、花色は土壌pHだけで直接決まるわけではありません。研究と公的解説を基に、より正確な内容へ全面更新します。
あじさいの花に見える部分は、主に装飾花の「がく片」です。代表的な青色やピンク色の発色には、アントシアニン系の色素、土壌から吸収されるアルミニウム、がく片内の成分などが関係します。品種による違いも大きいため、同じ庭でも異なる色が現れることがあります。
酸性土壌で青くなりやすい理由
環境省の解説では、土壌の酸性度が高いほど青く、アルカリ性度が高いほど赤くなる一般的な傾向が紹介されています。その背景には、酸性条件で土壌中のアルミニウムが植物に利用されやすくなることがあります。吸収されたアルミニウムが、がく片のアントシアニンなどと関係して青色の発色につながります。
つまり「酸性そのものが花を青く塗る」のではなく、土壌pHがアルミニウムの溶けやすさ・吸収されやすさに影響し、それが発色へつながるという理解が近いものです。アルミニウムが少ない土壌では、pHだけを変えても期待どおりの色にならないことがあります。
アルカリ性側でピンクになりやすい理由
土壌が中性からアルカリ性側になると、アルミニウムが植物に吸収されにくくなり、青色の発色が弱まってピンクや赤みのある色になりやすいと説明されています。ただし、色の変化はすぐに起こるとは限らず、土質、水分、肥料、根の状態などにも左右されます。
研究では、土壌条件を変えた複数品種を比較すると、赤や青を比較的安定して保つ品種と、土壌条件に応じて色が変わる品種があることも示されています。「この土なら必ずこの色」という単純な法則ではありません。
白いあじさいは色が変わる?
白花の品種には、青やピンクの発色に必要な色素を十分に持たないものがあります。そのため、一般的な青花・桃花のように土壌pHへ反応して大きく色を変えない場合があります。また、咲き始めや咲き終わりに緑や淡い色が加わる変化は、土壌pHとは別の要因で起こることがあります。
あじさいには多くの種類と園芸品種があるため、花色を考えるときは品種名を確認することが重要です。ガクアジサイや西洋アジサイなど、外見が似ていても性質は同じとは限りません。
近くに青とピンクが咲くのはなぜ?
同じ庭の近い場所でも、土のpHやアルミニウム量が完全に同じとは限りません。植え付け時の用土、肥料、落ち葉、水の流れ、石灰資材などにより、根が広がる範囲の条件が変わります。さらに品種が違えば、同じ条件でも発色は異なります。
旧記事で「2メートルしか離れていないのに色が違う」と記録した現象も、局所的な土壌条件と品種差の組み合わせで説明できる可能性があります。ただし、当時の品種名と土壌測定値が残っていないため、原因を一つに断定することはできません。
庭で花色を変えるときの注意
花色を変えようとして石灰や硫酸アルミニウムなどを自己判断で大量に加えると、根を傷めたり、土壌環境を急激に変えたりするおそれがあります。現在のpHを測定し、品種を確認したうえで、園芸専門家や製品表示に従って少量ずつ調整してください。
色を思いどおりに固定することだけでなく、その土地で自然に現れた青、紫、ピンクの違いを眺めるのもあじさいの楽しみです。雨粒をまとった花を急がず眺める時間は、日常に回復の余白をつくります。ここでいう回復は身体への効能ではなく、季節に心を向ける体験を表しています。
仕組みの詳しい解説は、環境省のアジサイ紹介と、土壌条件と花色に関する研究をご覧ください。
初回公開:2015年6月23日/全面更新:2026年8月9日。旧記事の庭の記録は残しつつ、土壌pHだけで花色が決まるという単純化を修正しました。掲載画像は生成イメージで、現在の旅籠屋丸一の庭を撮影したものではありません。
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この記事を書いた人
窪田 一生
旅籠屋丸一 代表取締役/15代目
群馬県・猿ヶ京温泉生まれ。幼少期からテニスに打ち込み、全国大会やオーストラリア留学を経験。
帰国後、堀越高校、中央大学へ進学。
卒業後は中国整体・サプリメント・アロマ関連など、人の身体や暮らしに関わる仕事に携わる。
現在は旅籠屋丸一の代表取締役・15代目として、歴史を受け継ぎながら宿の新しい未来に挑戦中。
このブログでは、猿ヶ京温泉や旅の魅力、宿づくりへの想いをお届けします。

