冬の湯加減はその日の自分に聞いてみる

冬の室内浴場を描いた利用イメージ(AI生成イラスト) 実際の蔵の湯の設備や現在の雪景色とは異なります

丸一のぬる湯と温かな湯で見つける心地よい時間

寒い日の猿ヶ京温泉では、ひとつの温度に決めず、その日の気分に合う湯を選んでいただきたいと思います。旅籠屋丸一には自家源泉「里山温泉」があります。ぬるめの湯を静かに楽しむ日も、温かい湯から始めたい日もある。冬の丸一は、その選び方まで含めて温泉の時間です。

外を歩いて来た日には、早く湯船へ向かいたくなりますよね。けれど、上着を置いて、飲み物を用意して、まず窓の外を眺める数分も悪くありません。湯上がりに何をするかまで思い浮かべると、入浴は一日の途中にある小さな楽しみになります。

36.1℃の源泉は湯船で冬支度

里山温泉の温泉分析書には、2024年5月13日の分析値として源泉温度36.1℃、泉質はカルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉、pH8.4と記されています。これは源泉を調べたときの数字です。浴槽に満たされた湯が、いつでも36.1℃という意味ではありません。

冬は気温も風も変わりますし、湯に入る方の人数でも体感は違います。温泉を紹介するとき、源泉の数字だけを大きく掲げると、実際の湯船で「あれ、思っていた温度と違う」となってしまう。そこで丸一では、源泉そのものの特徴と、お客様が入る浴槽の温度を分けてお伝えします。

「ぬる湯」という言葉にも、ひとりずつ違う好みがあります。じんわりした湯が好きな方もいれば、外気が冷える日は温かさが欲しい方もいる。どちらが正解という話ではありません。最初に湯を手で確かめ、自分に合う入り方を選んでください。

蔵の湯はぬるめと温かめの二枚看板

丸一の現行の温泉浴場案内では、蔵の湯「林」の内風呂は34~40℃、露天風呂は40~42℃としています。気温に合わせて温度を管理しており、天候や利用状況によっても湯温は変わります。冬にいつも同じ数字になるわけではありません。露天風呂はボイラーで加温する現在の運用です。

ぬるめの湯を選ぶ楽しさを、丸一では「不感温浴のすすめ」としてご紹介しています。体温に近いぬるめの湯で、熱さや冷たさを強く感じずに過ごす入り方です。湯面を眺めたり、湯の音を聞いたり。時間を競わず、気持ちよいところで上がるのがいいと思います。

一方、寒い日には温かな露天風呂を先に選びたくなるかもしれません。蔵の湯の二つの浴槽は、温度の幅が違うからこそ、その日の好みを考えるきっかけになります。体調や外気に合わせ、無理のない方を選んでください。熱めの湯では立ち上がるときもゆっくりと。水分を取り、長湯は控えめにしましょう。

温泉掲示にある適応症に関心のある方は、現地の掲示を禁忌症や入浴上の注意とあわせてご覧ください。この記事でお伝えしたいのは個々の症状への効果ではなく、里山温泉を自分のペースで味わう方法です。

客室の湯加減は自分で決める小さな贅沢

温泉風呂付き客室では、お部屋で自家源泉を楽しめます。ぬるめの湯に入りたいときはそのまま、温かめがお好みなら加温して好きな温度へ。公式の客室温泉風呂案内にも、その選び方を載せています。

誰かと一緒の旅でも、湯加減の好みは案外違うものです。「今日は少し温かめにしようか」と話して決める。それだけで、お部屋の湯が二人や家族の時間になります。温度を変えられることは、冬の客室風呂の使いやすさのひとつです。

ただし、加温できるからといって、熱い湯にする必要はありません。まずは湯温を確かめて、少しずつ自分に合うところへ。入浴前の飲酒や食事直後、体調がすぐれないときは無理をせず、現地の入浴上の注意も確認してください。

湯に入る前の上着と飲み物を描いた利用イメージ(AI生成イラスト) 実在の客室や現地の雪景色とは異なります
入浴前の支度を描いたイラスト。実際の客室や現在の景色ではありません。

湯上がりの時間も先に用意しておく

冬の温泉旅で私がおすすめしたいのは、入る前に湯上がりの居場所を決めておくことです。着るものを手の届くところへ置き、飲み物を用意しておく。小さなことですが、上がってから慌てずに済みます。

本を開く。明日の行き先を話す。何もしないで座る。お客様がそれぞれの過ごし方を見つけてくださると、宿の時間は少し豊かになります。湯船の中にいる分数だけが温泉旅行ではありません。入る前と上がった後に生まれる余白も、丸一での一泊の一部です。

「回復」という言葉を丸一で使うとき、私が思い浮かべるのは身体の変化を約束することではなく、急がない時間をもう一度持つことです。旅先で自分のペースを選べる。そんな日常の余白を、冬の温泉で感じていただけたらうれしいです。

湯上がりに本とお茶を楽しむ利用イメージ(AI生成イラスト) 実在の客室や現在の雪景色とは異なります
湯上がりの休息を描いたイラスト。実際の客室や現地の景色ではありません。

冬にお越しになる前に

東京方面からお車なら、関越自動車道の月夜野ICから国道17号を経て猿ヶ京温泉へ向かう道が公式交通案内に載っています。冬の道路状況は日によって変わるため、出発前に最新の道路・天気情報を確認し、時間に余裕を持ってお越しください。電車とバスの場合も、乗り継ぎ時刻は交通事業者の案内を確かめると安心です。

お部屋や湯処の選び方に迷ったら、客室案内と温泉浴場案内を見比べてみてください。蔵の湯の内風呂と露天、そして客室温泉風呂。過ごしたい時間から選ぶと、旅の支度も楽しくなります。

寒い日のぬる湯には、急いで答えを出さないよさがあります。今日はぬるめがいいか、温かめがいいか。猿ヶ京に着いてから、その日の自分に聞いてみてください。丸一では、どちらの時間も大切にしてお迎えします。

温泉の泉質と源泉温度は2024年5月13日の温泉分析書、浴槽の案内は2026年11月7日に確認した旅籠屋丸一公式サイトによります。湯温は天候や利用状況によって変わります。掲載した挿絵は利用イメージ(AI生成イラスト)で、実在の浴場・客室・現在の景色を描いたものではありません。

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この記事を書いた人

窪田 一生
旅籠屋丸一 代表取締役/15代目

群馬県・猿ヶ京温泉生まれ。旅籠屋丸一の15代目として歴史を受け継ぎながら、宿と土地の新しい楽しみ方をお届けしています。