温泉旅館で靴を脱ぐ時間|宿主が思う、旅の始まり

木の床と椅子が並ぶ旅籠屋丸一のロビー

温泉旅館で靴を脱ぐ。ほんの数秒のことですが、私はこの瞬間が好きです。

遠くから車を走らせてきた方も、新幹線とバスを乗り継いできた方も、玄関で靴ひもをほどくと、少しだけ表情が変わります。『着いた』という安心が、肩ではなく足元から伝わってくるように見えるのです。

今日の宿主の独り言は、旅籠屋丸一へお越しくださる皆さまへの感謝とともに、靴を脱いでから客室へ向かうまでの、短くて大切な時間について書いてみます。

玄関は、日常と旅の境目

宿の玄関には、外の明るさと館内の落ち着いた灯りが同時にあります。扉の向こうには猿ヶ京の空気があり、一歩入れば、黒い梁と白い壁、木の家具が迎えます。

靴を脱ぐことは、ただ館内へ入るための作法ではありません。運転の緊張も、電車の時刻を気にしていた気持ちも、いったん玄関に置いていくようなもの。私たちは、その切り替わりを急かさずお迎えしたいと思っています。

旅籠屋丸一の青い暖簾と木の扉があるフロント入口
青い暖簾の向こうがフロントとロビーです。旅籠屋丸一提供の実写(ブログ使用許諾済み)。

木の床を歩く音まで、宿の時間です

フロントから館内へ進むと、靴底とは違う、やわらかな足音になります。木の床には木の響きがあり、畳には畳の静けさがあります。

古い建物では、柱も床もまったく同じ表情ではありません。歩く場所によって光り方が変わり、少しきしむ音がする。それを不便と見るより、長い時間のなかで人が行き来した跡として感じていただけたら、宿の景色は少し深くなる気がします。

旅籠屋丸一の施設案内では、到着時の入口、ロビー、茶室などをご覧いただけます。初めての方は、建物のつながりを少し知っておくと、到着後も迷わず過ごしやすくなります。

畳の部屋で、足の裏まで休ませる

客室へ着き、畳の上へ上がると、今度は歩幅がゆっくりになります。窓の方へ行く人、荷物を置いて座る人、まず部屋をひと回り見てみる人。皆さまそれぞれの『やっと着いた』があります。

畳と木の天井、ソファがある旅籠屋丸一の和室
畳の足触りと木のぬくもりが残る館内。旅籠屋丸一提供の実写(ブログ使用許諾済み)。

宿でいう「回復」は、何かを治すという意味ではありません。時計や予定に追われていた日常から少し離れ、自分の速さを取り戻すこと。靴を脱ぎ、足元が軽くなったところから、回復する時間は静かに始まるのだと思います。

旅籠屋丸一の客室案内では、和室、和洋室、一棟貸しなど各客室の写真と設備をご案内しています。お好みの過ごし方に合う部屋を、どうぞゆっくりお選びください。

お帰りの靴をそろえながら思うこと

翌朝、お客様が再び靴を履く姿を見ると、宿での時間は本当に短いものだと感じます。昨日より少しゆっくり靴ひもを結んでいる方、名残惜しそうに館内を振り返る方、もう次の目的地の話で弾んでいるご家族。

数ある宿のなかから丸一を選び、山あいの猿ヶ京温泉まで来てくださったことに、いつもありがとうございますとお伝えしたいです。玄関で靴を脱いだ瞬間から、また履く瞬間まで。その一晩が、皆さまの日常に小さな余白として残れば、宿主としてうれしく思います。

東京方面から旅籠屋丸一へのアクセス

お車の場合は、練馬ICから関越自動車道で月夜野ICへ約90分、月夜野ICから国道17号で猿ヶ京温泉へ約20分が公式案内の目安です。週末や行楽期、冬季は道路状況により変わるため、時間に余裕を持ってお越しください。

電車の場合は、東京駅から上越新幹線で上毛高原駅へ約89分。上毛高原駅から関越交通バスで終点の猿ヶ京まで約35分です。時刻表は変更されることがあります。詳しい交通案内と時刻表へのリンクはこちらをご覧ください。

館内、客室、交通情報は2026年9月26日に旅籠屋丸一公式サイトで確認しました。交通時刻や道路状況は、ご出発前に最新情報をご確認ください。


この記事を書いた人

窪田 一生
旅籠屋丸一 代表取締役/15代目

群馬県・猿ヶ京温泉生まれ。現在は旅籠屋丸一の15代目として、歴史を受け継ぎながら宿の新しい未来に挑戦中。このブログでは、猿ヶ京温泉や旅の魅力、宿づくりへの想いをお届けします。